単品売買はもっともリスクが高い
多くの方が意外に感じるかも知れませんが、オプションを単品で買ったり売ったりするのはもっともリスクの高い状態です。単品のオプションはまさに「素」の状態で、オプションで生じるリスクのすべてにさらされているのです。とはいうものの、単品の値動きだけで損益は決まるので、損益はわかりやすくリスク管理は枚数の制御とロスカットルールだけでもできる利点もあります。
単価の安いOTMを少ない枚数で単品売買する限りにおいては、損益の動きもたいしたことにはなりません。しかしながら、潜在的にはオプション特性のすべてにおいてリスクを素のままで抱えていることはまちがいありません。
枚数を少しでも増やすかATMに近い銘柄を選べば損益の振れはかなり大きなものになります。損益の振れが大きければ、儲けのチャンスも増えるけど大きな損失を被る可能性も増えるだけの話です。こうしたポジションは短期的な運不運に最も影響を受けやすので、運が悪いと一発で致命的なダメージを受ける可能性のあるトレードだといえます。
短期的な運
単品のトレードは、オプション特性を素のまま受けることをよく理解しておかなければなりません。OTMを売った場合は、相場の展開にはほとんど関係なく時間の経過と共に、利益が少しづつ積み上がっていきます。ここちのよい損益の出方をするため、初心者に対してこれ専門にやりましょうと推奨する指導者は大勢います。平時においてはたいへん安心感のあるOTM売りではありますが、たまに牙をむきます。オプションの素のリスクをそのまま抱えているわけですから、本当の勝負はOTMが牙をむいたときにどう対処できるかが問われているのです。牙をむくまでの間は、ただ運が良かったにすぎず、トレードの技術は全く関係ありません。
OTMを買った場合は、もともと安い単価なので、ほどほどの金額であれば最終的になくなってもあきらめることができます。この考え方はとても大切です。もし、ゼロになるのが怖くてゼロになる前に短期的に転がしていると、往々にして少ない金額を買いっぱなしにするよりも大きな損を被ります。短期で転がす場合は、たまたま買ったあまり時間がたたずに思惑通りに日経平均が動かなければなりません。それを繰り返すのは、かなり運が味方しなければ不可能です。
大成功の壁
OTMの魅力は何年に1回の大変動です。しかし、宝くじのように、いきなり大当たりにはなりません。もともと単価が安くリスクの少なかったOTMが次第にATMに近づいたりITMにな途中過程を乗り切って始めて勝利を収めることができます。途中の過程では、これまで取ったこともない巨大なリスクを抱えることになります。もともと負けてもいい資金だったと考えなければ、久しぶりに発生した評価益が急減することに耐えられず、せっかくの大波のチャンスを早い段階でおりてしまうのが関の山です。大変魅力のある単品買いの大爆発ではありますが、うまく着地刺せるには、徹底した鈍感力かそれなりの技量が必要とさせるのです。
運ではなく制御
オプショントレードでは、買いにせよ売りにせよ、運に頼ったやり方では長く生残ることはできないのです。運の要素を減らすためには、素の単品オプションがかかかえるいろいろな特性を、ほかのオプションと組み合わせて制御する技術がどうしても必要なのです。
オプションの買いと売りを組み合わせることで、特定のリスクを取り除くことができます。それが、オプションのリスク管理の目的であり、リスク管理を行なうことで、短期的な運の影響を減らし、損益の出方を自分好みに制御し、その結果余裕をもって相場に取り組めるのです。相場というのは、余裕を持って無心で取り組めば取り組むほど、他の参加者の欲望や思惑というものに気づきやすいのです。単品売買では、大儲けするにせよ大損するにせよ、肝腎なときに心理的なプレッシャーを感じ、適切な対応ができないのです。