オプションでは勝率を上げることはそんなに難しくない
日経平均が上がるか下がるかはおおざっぱに5分5分です。先物やFXの「直線的な」短期トレーディングでは、この5分5分をわずかに引き上げるか、それ以下の勝率でも利大損小を狙わなければなりません。
ありがたいことに、オプションには勝率の高い方法があります。しかも、この方法は複雑なことをしなくても最初から高い勝率なのでだれでも実践できます。届かないと思う水準のオプションを「届くはずがないと信じて」売ればいいのです。それだけで勝率は5割以上になります。おおざっぱにいえば8割方、慎重に水準を選べば9割以上はほとんど何もせず勝てるはずです。FXや先物において丁半の戦いで疲弊したかたにとっては大変魅力的な数字です。
ただし、世の中にそんなおいしい話はなく、大きく負ける危険性と引き換えに勝率が高くなっているだけのお話です。この危険性をどのように理解するかによって、トレーダーとしての運命は大きく変わります。
マーティンゲールという倍々賭け
丁半5分5分の賭けにおいて勝率を高くする方法があります。1回ごとの確率は50%でも負けるたびに倍賭けしていくことで、資金が尽きない限り負けないマーティンゲールと呼ばれる必勝法です。倍賭けを続ければやがて天文学的な掛け金になることは簡単に想像できます。10連敗すれば掛け金は当初の1,024倍となりかなりドキドキもので、20連敗すれば掛け金は当初の100万倍を超え多くの人が賭けを続けられなくなって脱落します。どこまで賭けが続けられるかは資金力次第ですが、無限に資金がない限り運が悪かったではすまない巨額の損失を食らって退場するはめになるのです。
普通の常識人ならこのような単純な倍々賭けをやらないはずですが、ギャンブラーというのは「ぎりぎりまで続けて勝ち逃げする」という考えをするものです。続けて何連敗もする確率自体低いわけですから、むやみやたらに繰り返さなければ今回だけは「うまく勝ち逃げできる」という誘惑はつねにつきまといます。
単調な倍々賭けをかたくなに最初から最後まで続けることはほとんどないとは思いますが、小さな負けを取り戻すために「今回だけ」といいながら「何回も」ナンピンを繰り返すのはよくある話です。普通のトレーダーでも、何回か似たような経験をすることもあるかもしれません。しかし、このような誘惑から完全に逃れない限り、マーティンゲールの世界に身を委ね続けていることにほかなりません。
自分でプレーせずに、このようなやり方を巧妙に変形させて「ひとに教えてフィーを取る」というずるがしこい人も存在します。これこそが、本当の必勝法です。
勝率を高くする方法
オプションにおいては、勝率の高い方法が大きく負けるようなことは本当にたまにしか起りません。これを運良くかわすことができれば数年にわたる「必勝法」ができあがる仕組みになっています。さらに、大きな損失の可能性と引き替えさえすれば勝率はいくらでも引き上げることはできます。これは技術でもなんでもなく誰にでもできる簡単な方法なのです。勝率を自慢する投資家の経験が5年以内なら、その人の話を決して真に受けてはいけません。
勝率に拘ると、もれなく大きな損失の可能性がついてきます。逆にいえば、大きな損失の可能性を増やさずに勝率を高めることは、それなりの努力や工夫が必要だということです。勝率の高い方法は大きな損失の可能性の上に成り立っています。大きな損失の可能性を減らそうとすれば勝率は犠牲にせざるをえないのです。
オプションは勝率と損益の出方のバランスを自分好みにコントロールするもの
オプションをうまくなりたいなら、勝率に拘ったり勝率を高める方法を追求するのではなく、勝率はほどほどに抑えて自分好みの損益の出方を追求するように思考を変えるべきなのです。短期的には値動きの予想が難しい日経平均を対象とした賭けですから、変な期待や欲を持つだけで相場想定にバイアスや願望が入り込み適切な対応ができなくなるのです。勝率を重視する考え方は、マーチンゲール的な賭け方に足を突っ込んでいるという自覚を待つべきなのです。