オプション取引を行う上で、エクセルは非常に強力なツールです。しかしながらオプション取引でどのようにエクセルを使えばよいか、というのは非常に難しい問題です。エクセルそのものがどの程度使えるかどうか、またオプションに関する知識がどの程度あるか、という2つのハードルがあるからです。
エクセルは、一般的なアプリケーションになってきています。実際、書店に行くとコンピュータ関係のコーナーではエクセルに関する書籍が一番スペースを取っています。初心者から上級者までいろいろなレベルの書籍がそろっています。毎年何冊もエクセルの本が出版されるということは、やはりそれだけ独学が難しく決定的な教科書ができていないという現状を反映しています。
習得が難しい理由の一つは、目的がはっきりと決めずに学習を始めることです。入力やファイルの保存、簡単な計算から始まって、簡単な初心者用のシートを作ってみる、というのが一般的です。そしてその後自分のやりたいことをやろうとすると手が止まる、というのも普通です。
この講座の目標
この講座ではオプション取引のために使えるシートを作る、使えることを目的に講座を進めていきます。皆さんには実際に手を動かして、エクセル上でオプションのプレミアムやグリークスを計算していただきます。ビデオを見て、テキストを読んで、わかった、と思うのではなく、必ず実際に手を動かして同じように操作してみることをお薦めします。
ファイルの保存などパソコンの最低限の知識はあるという前提にしています。エクセルについては初心者でも始められるように講座を進めていきます。ただし、本当にエクセルを触るのが初めての初心者がこの講座だけでエクセルを習得するのはさすがに難しいと思います。入力など基本的なところも扱っていますが、足りないと思えば他の本やインターネットでカバーをお願いします。ただし初心者のうちは、何を勉強すればよいかもわからないことが多いと思います。遠慮なく、メールで質問していただくか、早めにSkype での質問を使って学習を軌道に乗せてください。エクセル初心者の方のSkype 相談の回数については柔軟に対応しますので、難しいと感じたらぜひSkype を利用してください。
講座の内容の後半には、エクセル初心者には少し難しいものも含まれています。ひとつひとつ進んでいけばできないことはないので、まずは手を動かしてみましょう。やっているうちに慣れてくると思います。
オプションの知識について
エクセルでオプション取引をするための講座ですが、基本的なオプションの知識はある、ということを前提にしています。基本的な知識というのは、日経オプションの商品性(SQ や限月、行使価格など)、デルタ、ガンマ、セータなどの言葉の意味を知っているということです。金融工学の知識は必要ありません。エクセルに複雑な式を入力するところもあります。でも、その式を解いたり、その背景を理解している必要はありません。もしオプションに
ついて初心者で、デルタ、ガンマって何、というレベルであれば、この講座とは別にオプションの勉強が必要になります。
逆に言えば、そのくらいの言葉がわかっていればこの講座では十分です。現時点でオプション取引の勉強をしている方なら問題ないと思います。エクセルを使っていろいろ手を動かすことで、言葉としてのデルタなどの知識が自分で使える知識に変わっていくと思います。